台湾の旧暦新年に合わせて、世界最速先行公開されたので昨日朝一に観に来た。
とりあえず簡単な感想...予告編から見れば判るはず
完全に別物ですけどリメイクはオリジナルと同じことやっても意味がない!という意見もありますが、
それはあくまで旧作と同じレベルの面白さがあればの話だと思う。
個人的には、新ロボコップはやはりリメイク失敗でした。
理由は以下で述べる
かなりネタバレになるかもしれないが
ロボコップは1987年に公開されたアクション映画、
監督は変人として有名なポール・バーホーベン。
舞台は近未来のデトロイト。
ある日アレックス・マーフィー巡査は、凶悪犯罪者を追っていたが、惨殺された。
丁度ロボット警官を企画していた巨大企業オムニ社は、マーフィーを生体部品として利用し、
彼をロボコップとして蘇らせた。
ロボコップは驚異的な性能で優秀な成果をあげ、街の治安は少しずつ取り戻されて行った。
しかし、ロボコップ自身は人間だった頃の記憶の断片に悩まされ、ついには自分が何者であったかを知ってしまう。
つまり、ロボコップはサイボーグ化になってしまった主人公が自分の存在を悩む
機械化人間はどこまで人間なのかという命題を突き詰めた意欲作...ではありますが、
その娯楽性が非常に高く、単純にその哲学的なテーマを観客に考えることを強要するような作品ではありません。
R指定の暴力描写、社会風刺、秀逸な設定とストーリーと演出、すべてのエンタテイメント要素が完璧に至るまでの完璧
リメイク版はまずPG-13なので、マーフィーがリンチされるシーンはやむ得なく車爆弾テロに変更
そもそもリメイク版のマーフィーは死んでなかった。今回は自我意思を持ったままロボコップに改造された。
この改編によって、ストーリーのテーマも大きく変わってしまった。
オリジナルは「機械化されて人間性を失った主人公は記憶を取り戻したため自分の存在意義を悩む
そして呪いのような忌々しい記憶の根源である悪に挑む、最終的に自我の定義を見つけ出す物語」
これに対して、リメイクのマーフィーは最初から自我を持っているので、「自我を見つけ出す」テーマが非常に弱くなる
一応マーフィーが途中OCPからの調整により人間性を失う展開があるものの、再びその束縛から脱する展開はあんまりにも安い。簡単に言うと、妻と息子が泣いている!こりゃ親として夫としての人間性は機械と薬物のコントロールにも勝ってる!→なんとマーフィーの自我が戻った、奇跡だ!
「ほら、家族愛てすごいでしょう~」みたいなやすっぽい展開はどうにもならないかな...
そのせいで、リメイク版は単純に「家族愛最強論」映画になってしまう。
オリジナルの「機械化人間の自己肯定」とは遥かに離れている。深さももちろんオリジナルに比べなくなる。
じゃあ今21世紀最新CGIを使うリメイク版はエンタテイメント面できっとオリジナルに勝てるはずだろ!
残念ながらそれもない。
確かに今回のエフェクトはド派手なんですが...
なぜか一旦戦闘シーンに入ると、カメラは映画史上いままでない揺らすっぷりを見せる。
加えて視点が超高速で切り替わるので、画面中にいったい何がどうなってるのか、非常に把握にくい。
はっきり言うと完全にカオス状態です。
さらに見せ場だったはずのマーフィー謀殺の主謀者の組織を殲滅するシーンは真っ黒な倉庫で展開される。
揺らすカメラ、高速切り替わる視点、飛び交わす銃撃の明かり...カオスをさらにカオスしてどうする!?
このシーンは完全に拷問なんです。まじで酷かったなんです。
あと終盤、ロボコップとED209を戦わせるため、ストーリーが一気に強引な展開になってしまう。
別ルート行けば簡単に回避可能な戦闘なのにマーフィーがなぜかわざわざ正面から突き込んで、
しかも一匹も倒せないまま自分がボロボロになっただけでこのシーンが終了。なんじゃこりゃ...
正直、突っ込むどころが多すぎてきりが無い作品でした。
ただ一つだけが評価してもいい所がある。
それは旧作からみんなずっと気になってしょうがない、マーフィーの「中身」
今回はちゃんと中身は一体どんな状態になっているのかはっきりくっきり見せてくれる。
超キモグロなんだけど、その分インパクトが半端ない。
これでやっとCGIの進歩に実感した。
あと、このシーンによって、その生身の右手は何のためもやっと解明された。
つまり右手が残ったままで外見から見ると「実は人がハイテクスーツを着ただけでは?」という誤認トリックです。
このトラップにまんまんに嵌った自分も造型スタッフに謝りたくなるぜ。凄くサプライズだ。
まぁ...基本的にボロクソしか言ってないが、
旧作愛があんまり無い、もしくは旧作見たこと無い人なら、リメイク版はたぶん普通に面白いだと思う。
だが、オリジナルに対する愛が深いほど、リメイクの駄目さが目立つになるんだろ。